マチルダ(Matilda)ロアルド・ダール原作の映画

2018年11月17日

1989年のアメリカの映画です。

マーラ・ウィルソン、エンベス・デイヴィッツ、ダニー・デヴィート、パム・フェリス、リー・パールマンが出演しています。

原作はロアルド・ダール(Roald Dahl)。
彼は、たくさんの児童文学を執筆しており、

・チョコレート工場の秘密(夢のチョコレート工場、チャーリーとチョコレート工場など)
・ジャイアント・ピーチ
・父さんギツネバンザイ
・いじわる夫婦が消えちゃった
・The BFG

など、今でも子供たちに人気だし、映画化されているものもたくさんあります。

 

「マチルダ(Matilda)」のあらすじと感想

とある病院でマチルダ(マーラ・ウィルソン)は生まれました。
迎えに父親(ダニー・デヴィート)は、マチルダに一瞥をくれただけで大してうれしそうではありません。
母親も一緒に迎えにきたくせに大して興味がなさそうだし、二人でお金の話ばかりしています。

両親ともに放任主義で、父親はぼったくりの中古車販売業者を営み、母はビンゴをしに毎日お出かけです。
加えてマチルダの兄も頭がいいようには見えません。

マチルダは赤ちゃんの頃からとても頭が良かったのに、両親はそれにちっとも気がつきませんでした。

ある日、マチルダは父親に「本を買ってほしい」と頼みます。
毎晩のごとく、テレビの前に陣取り、くだらない番組を観ながら食事をする父親は答えます。

「本?なんで?
テレビを観たらいいだろ?
テレビの方が早いし」

この人に話しても仕方がないと感じたマチルダは、4歳にして図書館通いを始めます。
マチルダは好奇心が旺盛で、あらゆる知識をどん欲に吸収してしまう天才です。

放任主義の両親からは何も学ぶことはできません。
だから彼女は本からどんどん学んでいきます。

家では1人ぼっちだけれど、本を読むことで知識も世界も広がります。
図書館に置いてある子供の本を全部読み終わったマチルダは、次のセクションの本も読み始めます。

 

マチルダの能力が現れる

マチルダがどうして本ばかり読むのか両親は理解できませんでした。
自分たちの目先の利益にだけ夢中の日々を送っていたので、マチルダを学校へ送ることも忘れるほどでした。

マチルダは6歳になっていました。
本来なら、学校に通っている年齢です。

そのことを指摘すると、父には、
「学校?お前はまた4歳だろう」
母には、
「4歳だったわよね?」
と、あしらわれてしまいます。

 
ある日父は、彼がどれだけぼったくった商売をしているかを自慢していました。
「車Aはこの値段で買ってこの値段で売れた、車Bは・・・、車Cは・・・」
と列挙した後、
「さあ利益の合計はいくらだ?」
とマチルダの兄に尋ねます。

兄は「早くてわからない」というのに対し、マチルダは「○○ドルよ」とすばやく暗算をしてみせます。

普通の親だったら、家にこんな頭の良い子がいたら何かいい教育の機会を探したりするものなのですが、マチルダの父ときたら、
「お前はズルをして答えを出したな」
と疑ってかかります。
もったいないことです。

「勉強よりもビジネスの方が大事だ」という父は、子供たちを父のぼったくりの中古車店に連れていき、仕事の極意を伝授します。

でもその極意はまったくのイカサマ。

バンパーは瞬間接着剤で貼りつけているし、ガソリンにはおがくずを混ぜたり、メーター数を操作したり・・・。
マチルダは
「それは不正だ。ちゃんとした車を売らなくちゃだめだよ」
と非難しますが、父は
「これがビジネスだ」
というのです。。

さらに父のビジネスは盗難品も扱っていたため、FBIに監視されていました。
「家の前にいるのは警察だから」と、マチルダが何度も警告したのにもかかわらず、両親は「あれはセールスマンだから」とって信じようともしません。

 
ある日の夕飯どき、家族全員がテレビを見ながら食事をしているのに、マチルダだけが本を読んでるので父親が叱り飛ばします。
そして本を取り上げ、ビリビリと破いてしまいます。

そのとき、怒りの感情がMAXになったマチルダの超能力が発動します。
みんなが見ていたテレビの画面が破裂します。

でもそれがマチルダの能力だったということは彼女も気がつきませんでした。

 
マチルダはやっと学校にやっと通うことになりました。

そのきっかけは、父の中古車店に「トランチブル」という小学校の校長が車を買いにやってきたことでした。

マチルダが悪い子供だと信じている父親は、「悪い子供にはどんどん罰を与える」というトランチブルに共感します。
そしてマチルダをトランチブルの学校に通わせるように話を付けます。

 

マチルダの2回目の超能力

マチルダが行きたかった学校。

期待を胸にふくらませたその場所には、とんでもなく恐ろしく、暴力的で、鬼か悪魔かと見まごうような校長が猛威を振るっていたのです。

トランチブルはその昔、砲丸投げ、やり投げ、ハンマー投げのオリンピックの選手であり、体も恐ろしく頑丈で、誰も彼女には抵抗できないことを知ります。

 
でもマチルダは、いい友達をたくさん作りました。
そしてマチルダを唯一理解してくれる、担任の優しいハニー先生と出会います。

マチルダが大きな数の掛け計算ができること、本を読むのが大好きだというととても喜んでくれました。

ハニー先生は、「マチルダはとても優秀だから、もっと上のクラスで勉強させた方がいい」と、提案したのに、マチルダの父から「うちの娘は悪い子供だから」と聞いていた校長は取り合いません。

そして、ハニー先生はマチルダの両親と話をするために家庭訪問をします。
「もっと才能を伸ばす機会を与えて欲しい」と、せっかく頼んでくれたのに、両親は先生の言っていることをまるで理解しません。

お母さんにいたっては
「あなたは本(Book)を選んだのでしょうけど、私は見た目(Look)の方が大事だから」と言うのです。
先生も時間外にわざわざ訪ねてきてくれていたのに、まーなんと恥ずかしい両親の振る舞いです。

 
トランチブル校長はハニー先生のクラスに教えにやってくることがあります。
そんなときの教室は大忙しです。

子供たちが作った工作のプロジェクトや飼っている魚、カラフルなものすべてを先生も含めてクラス全員で隠します。
そして、トランチブルのために水差しとグラスを用意しなくてはならないのです。

ハニー先生は念を押します。
「忘れちゃだめよ、トランチブル校長がきたら、聞かれたこと以外に答えないこと、笑わないこと、笑顔もダメ。息もしちゃだめ。」

いやいや、息もしちゃだめって笑。
それだけ緊迫した雰囲気になるのでしょうね。

ところが、マチルダの友達のラベンダーが、いたずら心でトランチブルの水差しにイモリを入れてしまったのです。

それを見つけたトランチブルはマチルダを責め始めます。
ここでまたマチルダの超能力が発動します。
イモリが校長に張りついたり、水の入ったグラスが倒れたりします。

ひと騒動が終わって、ハニー先生とマチルダが教室に残ったとき、
「あれは私がやったことなの」
と告白しますが、マチルダの能力はまだ未開発でそれを証明することはできませんでした。

 

ハニー先生の過去

その放課後、マチルダはハニー先生の自宅にお茶に誘われました。
途中、二人はトランチブル校長の家の前を通ります。

そこはかつて、ハニー先生と最愛の父が住んでいた屋敷でした。
ハニー先生が小さいころ、母親が他界してしまったため、父が義姉妹にあたるトランチブルを呼び寄せてハニー先生の面倒を見てもらえるようお願いしたのです。

ところが、ハニー先生が5歳の時に愛する父も亡くなって、トランチブルがまんまとお屋敷と家の財産をふんだくってしまったのです。
そしてハニー先生は追い出されてしまいました。

「でも、今は小さな家に花をたくさん植えてとても幸せよ。
マチルダ、今は家族があなたのことを理解してくれていないけれど、でも、将来、絶対に幸せになるから」
とハニー先生は力づけてくれました。

ハニー先生は、トランチブルの屋敷に両親の写真と大切にしていた人形のリッシーを置いてきたことを話しました。
マチルダは、校長の屋敷に忍び込み、ハニー先生の宝物を取り返しに行きます。
ハニー先生も心配で一緒についていきました。

ちょうど校長は車で出かけたので忍び込んだものの、トランチブルの車は調子が悪くなったため、戻ってきてしまったのです。

まあ、校長の戻り方といったら笑。
車が動かなくなってしまったので、車の後方部を持ち上げて方向転換をして、そのまま車を押して帰ってきたのです。

トレンチブルは誰かが屋敷に入ってきたことに即座に気がつきます。
野生の感でしょうか、おそろしいです。

「誰があたしの家にいるんだい?(Who’s in my house?)」
と怖く呼びかける校長。

鬼みたいで怖いです。
パム・フェリスの演技がうますぎます。
動きもいいですし、もう、実物もこんな人じゃないのかと思ってしまうほどです。

やっと逃げ切った二人。
「もうこんなことはしないで欲しい」
と、マチルダを心配するハニー先生。

そして二人は「ハニー先生のお父さんは自殺じゃなかった。校長に殺されたのでは」と確信に近い疑いを持ち始めます。

そしてマチルダはこの頃から自分の超能力を鍛え始めました。

 

最後の反撃

能力をコントロールできるようになったマチルダは、ある夕方、トランチブルの屋敷にまた出かけることにしました。

今度は屋敷には入らずに能力を使って人形だけを外にだしました。
そのとき、風が強かったためマチルダのリボンがほどけて木に引っかかってしまいました。

マチルダはトランチブルを懲らしめることにしました。
時計の針を進ませたり、ソファーを動かしたり、窓を開けたり、照明をチカチカさせたりして驚かせました。

トランチブルは、それがハニーの父の呪いだと仰天しました。
やはり父の死は自殺ではなかったのです。

家から慌てふためいて飛び出したトランチブル。
しかし、そこでちょうどマチルダのリボンを見つけてしまいます。
リボンを眺めながら「あれは呪いなんかじゃなかった」とニヤリとします。

翌日、トランチブルがまたハニー先生のクラスを教えにやってきました。
「昨晩、私の私の家に子供が忍び込んだ。このリボンだ誰のものだ?」
と、犯人探しをしに来たのです。

もともとトランチブルはマチルダに目当てをつけてきたようです。
マチルダを責め始めました。

そしてマチルダの反撃が始ります。

チョークが1本浮かび上がり、黒板に文字が書かれていきます。
子供たちは、授業中で習っているように黒板の文字をみんなで読み上げます。
「アガサ(校長の名前)、私はマグナス(ハニー先生の父)だ。
私の小さなバンブルビー(bumblebee(マルハナバチ)ハニー先生の愛称だった)に家とお金を返しなさい。
そして町から出ていきなさい。
さもないとひどいことになるぞ、私にしたようにな!
嘘じゃないぞ!」

トランチブルは、黒板消しで粉だらけにされたり、子供たちにお弁当をぶつけられたりといったお仕置きをされてしまいます。
途中、地球儀にぶつかるシーンがありますが、なぜかその地球儀がちょうど日本を表示しているのです。
何かの意図的でしょうか?

そうしてトランチブルは学校からも町からもいなくなりました。

ハニー先生はお屋敷に戻り、ちょうどマチルダがお茶に訪れていると、家族が車で迎えにきます。
父親は仕事をたたみ、急いでグアムに行くというのです。
夜逃げ的な引っ越しでしょうか。

急かす父親にマチルダは、
「私は行きたくない!ハニー先生の子供になりたい!」
と懇願します。

そしてバッグから図書館で調べて用意しておいた養子縁組の書類を出します。
母親は「いままでマチルダを理解できなくて申し訳なかった」と反省しましたが、その数秒後には書類にサインをしていました。
父親はどうでもよい様子です。

でも、そのサインをすることが両親がマチルダのためにやってあげた、たった一つのまともなことだったのです。

そしてマチルダは小学校の校長になったハニー先生と仲良く暮らしました。

私が観たのは英語版です。
こちらも字幕があるので、不明な単語が出てきたら英語字幕を表示して確認をすることができるので便利です。

Matilda(日本のアマゾン)

 
マチルダ役のマーラ・ウィルソンも可愛いのですが、先生のエンベス・デイヴィッツも知的でとても美しいです。
彼女は「シンドラーのリスト」や「穴」にも出演しています。

その中でも、「ああ、あの人だったんだ!」と驚かされたのは「ブリジット・ジョーンズの日記」でのナターシャ役です。
マーク・ダーシーとあとちょっとのところで婚約することになった人です。

「この辺りのサービスは本当に遅いわね。ロンドンでは考えられないわ。」

と、文句を言っていたあの人です。
確かに美人な役でしたねー。

それと両親役のダニー・デヴィートとリー・パールマンは、実生活でも夫婦です。

実をいうと私は「ローズマリー&タイム/Rosemary & Thyme」というイギリスのドラマが好きで、そのドラマに出演しているイギリス女優の「パム・フェリス(Pam ferris)」が目当てでこの映画を観ました。

でも、最初は、どこに彼女が登場していたのがわかりませんせんでした。
それで、クレジットを見てハッとしました。
そう、あの暴力的な校長がパムだったのです。

「ローズマリー&タイム/Rosemary & Thyme」ではパム・フェリスは「ローラ」役。
ガーデニングが得意で、姉御肌の素敵な女性を演じています。

それが、あのパム・フェリスだと分からないほど、演じ分けけていたのです・・・・
もう、脱帽です・・・。

パム・フェリスは、他にもたくさん出演していいて、最近では「ハリー・ポッター」にも。
ハリーのお母さんをけなしたため、ハリーに風船のように膨らまされて夜の空を飛ばされてしまったマーゴおばさんの役をしています(これも素敵な女性ではなかったですね)。

トランチブル役がとてもうますぎて本当にそんなキャラなんだと感じ始めるほど。
あまりに強烈な印象だったので「ローズマリー&タイム」でも観て浄化しようと思います笑。