シェルシーカーズ(The Shell Seekers)映画のあらすじと感想

この「シェルシーカーズ」は、「Monarch Of The Glen」という私の好きなドラマに出演していた俳優「アラスター・マッケンジー(Alastair Mackenzie)」目当てにDVDを観たのがきっかけです。

彼はリチャード役で登場します。

あまり期待せずに観始めたのですが、ストーリーにぐいぐい引き込まれてしまい、最後にはロザムンド・ピルチャーの原著を購入してしまったほど、彼女のファンになりました。

「人生って何なんだろう」「私の本当に大切なものは?」と考えされられる作品です。

コーンウォールの海岸町も景観でしたが、何よりも、ペネロピのコテージ(田舎スタイルの家)と庭が美しいです。

こんな場所でのんびり過ごせたら贅沢だなぁと思いました。

ロザムンド・ピルチャー(Rosamunde Pilcher)は、情景や人物をとても魅力的に描写する小説家で、2000年に引退したものの、いまだに彼女の書籍は人気があります。

 

「シェルシーカーズ」あらすじと感想

心臓発作で入院していたペネロピ。
まだ退院できるほど回復しているわけではないのに、

「自分の面倒は自分で見れるから大丈夫」

と、さっさとタクシーに乗り込み帰宅してしまいます。

帰宅した家は美しい庭に囲まれたコテージ。
彼女の大好きな空間です。

退院した知らせを聞いて、長女のナンシーが訪ねてきます。
ナンシーは、いつもあれこれと口をはさんでくる主婦。
大きな家に住み、家政婦を雇い、部屋の中にはたくさんの高級家具が並んでいます。

子供たちをプライベートスクールに通わせ、時間を持て余しているのではないかというぐらい、つまらないこと気にした入り、愚痴をこぼしたり。

次にやって来たのは長男のノエル。
スポーツカーを乗り回すノエルは、いろいろなビジネスに手を出してはあまり成功していない様子。

最初は電話だけで済まそうとしていたところを、ナンシーからあることを聞いて、急きょペネロピを訪問することにしました。

その「あること」というのは、ペネロピの家に飾ってある絵画「The Shell seekers(貝拾い)」が高い値段で売却できるのではということです。

そして、次女のオリビア。
オリビアはペネロピを一番理解していました。

恋人のコズモとイビサ島に滞在していたオリビアは、イビサ島でしばらく一緒に過ごそうと母に提案します。
二人はイビザ島で再会を喜び、そして恋人のコズモ、その娘のアントニオと意気投合し、楽しいときを過ごします。

ペネロピが帰宅したあと、オリビアはロンドンでの仕事のオファーをもらいます。
それは彼女が喉から手が出るほど欲しがっていた仕事でした。

そのため、泣く泣くコズモとアントニオを残してロンドンに発ちます。
しかしほどなくして、傷心したコズモはボート事故を起こして亡くなってしまいます。

身寄りのなくなったアントニオは、ペネロピのもとに身を寄せます。
かねてからナンシーが「お母さんには、住み込みの介護が必要よ」と口うるさかったため、彼女を黙らせるためにも好都合でした。

ほどなくして、ダニュがガーデナー(庭師)としてペネロピの家に通い始めます。
アントニオとダニュ、若い二人が親しくなるのにそう時間はかかりませんでした。

 

ポースケリス(Porthkerris)を訪れたい

ペネロピはイギリス南部の海岸町であるポースケリス(Porthkerris)をいつか訪れたいと思っていました。

そこは、画家であった父が余生を送った、美しい、特別な場所でした。
ペネロピが生涯で心から愛したリチャードに出会った場所でもありました。

ペネロピはナンシー、ノエル、オリビアそれぞれに
「一緒にコーンウォールに行かないか」
と誘います。

仕事が始まったばかりのオリビアは仕方がないとしても、残りの二人は理由をつけて同行したがりません。

ペネロピの父、ローレンス・スターンは、戦時中は有名な画家でした。
「最近、ローレンス・スターンの絵画の価値が見直されている」
そういう記事をナンシーの夫が見つけました。

既に市場に出回っていた彼らの祖父の絵画が、今ではびっくりするほどの値段がつけられていたのです。

ペネロピの家に飾ってあったのは、未完成の絵画が2枚、そして、彼女にとって重要な一枚「The Shell seekers(貝ひろい)」でした。

もちろんナンシーとノエルは、その3枚の絵画の値段も考慮したうえで、それら以外にも何かあるのではないかと探り始めます。

「The Shell seekers」は、最愛の父がペネロピをモデルに描いた絵画。
父の愛情がたくさん詰まっており、ペネロピが結婚祝いとして譲り受けたものでした。

夫のアンブローズは「僕はアートは分からない」とそっけなかったのに対して、リチャードは感動してくれた絵画でした。
ペネロピにとって、お金には代えられる代物ではなかったのです。

それを理解しないナンシーとノエル。
何度も訪ねてきたり、電話をかけてきて、

「絵画の価値が高いうちに・・・」
「売ってくれないと相続税が・・・」
「絵画に保険は掛けてあるの?」

などとまくし立ててペネロピを辟易させます。

それどころかノエルは「屋根裏を掃除してあげるから」と、家の片づけをするふりをして祖父のスケッチがないかどうかくまなく探します。

聡明なペネロピはノエルが絵画を探っているのに気づいていました。
そして、実際、父の絵画を隠し持っていました。

彼女はワードローブを開けて、洋服を全部とり出します。
ワードローブの奥は壁でした。

壁にナイフを当てて、彼女が「四角に切り込み」を入れたその向こう側に絵画が隠されていたのです。
彼女の夫が生きていたとき、ペネロピはお金を工面するために、父の絵画を何枚も売らなくてはなりませんでした。

これまで隠し持っていた絵画は、夫の目から届かないところで密かに保管してきたものでした。
それが今となっては、皮肉にも、子供から隠すことに役立ってしまったなんて悲しすぎますよね・・・。

 

ポースケリス(Porthkerris)での決心

ペネロピは、父に縁のあった絵画商を訪ねました。
そして隠し持っていた絵画やスケッチを委ねました。

彼女は100,000ポンドを受け取り、アントニオとダニュを連れてポースケリス(Porthkerris)に旅行をすることにしたのです。
ポースケリスに着いたときのペネロピのはしゃぎっぷりが子供のようで笑ってしまいました。

ペネロピの行動を理解したのはオリビアだけでした。
ナンシーとノエルは怒り心頭でした。

なぜなら、ペネロピが実はたくさんの絵画を隠し持っていたという事実だけでなく、「The Shell seekers」さえも家からなくなっていたこと、さらに、「The Shell seekers」が売却されたのではなく、ポースケリスの町に寄付されていたことにも腹を立てていました。

ペネロピの父が「The Shell seekers」を描いたときでさえ、その絵画をお金に変えるつもりはありませんでした。
彼女は父の思いを心から尊重したのでしょう。

そして、その絵画を父が過ごした美しい町に戻してあげたかった、さらには、おそらく、その絵画に込められた愛しい思い出と、彼女の心も一緒に残してきたかったのではなかったのではと感じずにはいられません。

3人の子供はすべて前夫の子供ですが、オリビアだけがペネロピと彼女の父に似て、残りの二人は父親似のような気がしますね・・・。

ナンシーはわざわざ車を運転してコーンウォールまでやってきます。

「絵画は売却してみんなでお金を分けるべきだった。
お母さんは私のことを愛していなかった。
いつもオリビアばっかり!」

延々と文句をぶちまけます。

ナンシーはペネロピが電話に出るまで鳴らし続けたり、気に入らないことがあればペネロピの家まで押しかけたり。
しまいには、コーンウォールまで文句を言いにくるのです。

どうせやって来るなら、母と一緒に旅行をしてあげればよかったのに、と残念でなりませんでした。

 

ペネロピとリチャード、それから若い二人

ポースケリス(Porthkerris)のギャラリーに飾られた「The Shell seekers」を眺めていたペネロピ。
ダニュがやってきて、スコットランドにすぐに戻ることを告げます。

彼は軍隊で受けた傷があり、それを手術すると体が麻痺を起こしてしまう可能性を持っていました。
アントニオにはすべて話しており、それを承知で彼女は一緒になりたいと言ってくれていたのです。

でも麻痺した体では、後々、アントニオが苦労するということが明白でした。
だから、自分はもう身を引くと言って去って行きました。

 

リチャードと一緒に光の中へ・・・。

傷心したアントニオとともに帰宅したペネロピ。
ノエルが訪ねてきて「The Shell seekers」を寄付したことについて怒鳴りまくります。

その晩、嵐がやってきてペネロピは寝苦しい夜を過ごします。
彼女の頭の中にはリチャードが読んだ詩がよみがえります・・・。

・・・そして翌朝。

目覚めてみると、嵐は過ぎ去っていました。
庭には倒れてしまったガーデンチェアや、乱れた植物が朝日の中でキラキラとひかり輝いています。

彼女にとってすべてが違って見えているかのようでした。

その中にペネロピが見つけたのはリチャードの姿でした。
(これを書きながらも、私は胸が苦しいです・・・)。

やっと、リチャードが迎えに来たのです。

目覚めて下に降りてきたアントニオが見つけたのは・・・、
ガーデンチェアの中で微笑みながら亡くなっていたペネロピでした。
彼女は喜びに満ち溢れた表情をしていました。

 

人生観が変わるストーリー

大変なのは残された子供たちです。
ペネロペの遺書の内容を知るなり、愚痴のオンパレードが始まります。

十分に遺産を分けてもらいながら、それでもなお、ありがたさを微塵も感じられない姿は哀れです。
こういう人たちはいつまでたっても幸せな心を持つことは不可能でしょう。

でも悲しいことに、どのキャラクターの要素も実は私たちに潜んでいる要素なのではないでしょうか。
だからこそ、この物語が面白いのではないかと感じます。

再会するアントニオとダニュ。
再会したかったのに果たせなかったリチャードとペネロピの魂が、二人に宿って一緒に祝福しているかのように見えます。

離れ離れになってしまっていただろう若い二人にチャンスを与えてあげたペネロピの優しさ、潔さ、そして愛の強さに心が動かされました。

でも、やっぱり、切ない気持ちにもなりました。

私にとっても、これからの人生で何を大切にしたいのか、本当にしたいことは何なのか、と考え直したくなるような素晴らしいストーリーでした。

私が観たのは海外版です。
残念ながら日本のアマゾンでは違うバージョンの「Shell Seekers」しか入手できないみたいですね。
日本語吹き替えも日本語字幕もあるかどうかわかりません。

The Shell Seekers [2006](イギリスのアマゾン)

このDVDセットの中に、私が観たバージョンの「The Shell seekers」が入っていますが、イギリスのアマゾンから直接購入した方がかなりお得になります。
「The Shell seekers」の在庫もたくさんあるし、しかも8ポンド(1,500円ぐらいでしょうか)です。

英語の勉強をしている方、のリスニングを練習している方なら、字幕を表示して楽しめると思います。
というか、美しい海岸やペネロピの庭を楽しんでほしいです。

原著では、今のところ「September(九月に)」「Coming home」「The Shell seekers(シェルシーカーズ)」を持っていますが、「シェルシーカーズ」が一番のお気に入りです。