契約の更新時期が近づくと、よりお得なサービスや条件を求めて他社に乗り換えるのは自然なことだと思います。
イギリスでは、特に以下のような分野で頻繁に「スイッチ(乗り換え)」を行う人が多いです:
・電気・ガス(エネルギー)
・ブロードバンド(インターネット)
・モバイル(携帯電話)
・自動車保険や住宅保険
・テレビ + ストリーミングサービス
中でもモバイル(携帯電話)は、SIMフリーが広く普及しているためキャリア間の乗り換えが簡単です。主要キャリアには「EE」「O2」「Vodafone」「Three」などがあります。
さらに、銀行の乗り換えも比較的簡単にできます。乗り換え先の銀行が、一定の条件を満たした場合に「£100〜£200の現金プレゼント」といったキャンペーンを定期的に行っていることもあります。私も過去に銀行のサービスが悪かったり、不具合があったり(珍しくない)して2~3回乗り換えたことがあります。引き落としが新しい口座に自動で移され、旧口座も自動で閉鎖されるなど、手続きは非常にスムーズでした。
今使っているものでも比較してみる
イギリスのブロードバンドプロバイダーでメジャーなのは「BT」「TalkTalk」「Sky」「Virgin Media」などです。これらの会社は「電話・ブロードバンド・テレビ」をまとめたパッケージを売りにして、宣伝合戦を繰り広げています。
我が家で使っていたのは「BT」で、10年以上にわたり「ブロードバンド+電話」のサービスを利用してきました。
数年前、そのBTからセールスの電話があり「料金は据え置きのままで、今よりも容量が大きく、速度の速いブロードバンドに切り替えませんか」と提案されました。もちろん、その方が快適になるので「それなら切り替えます」とオファーを受けることに。モデムもすぐに届き、快適にインターネットを使えるようになりました。
1年ぐらいして、家の中でのケーブルコネクションをWi-Fiに切り替えようかとリサーチしていました。料金の比較サイトがいくつかあるため、自分の希望するブロードバンドの速度や価格を入力し、リサーチ結果を見ているうちに、あることに気がつきました。
BTが現在提供している最新のパッケージ(ケーブルコネクションですが)は、我が家で使っているものよりもさらに高速で、料金もほとんど変わりません。しかも月々のデータ使用が無制限で、最初の6か月間は半額という内容だったのです。
気になったら質問してみる
「それよりも、さっさとWi-Fiのパッケージを探して、それを申し込んだら?」
という声が聞こえてきそうですが、BTに質問メールを出してみました。
「今使っているブロードバンド契約は、BTからかかってきたセールスの電話で切り替えた経緯があります。今日、BTの料金表を見てみましたが、私たちが支払っている金額で、もっと良い条件のものがありますよね?それなら、こういった内容もセールスしてくれたらよかったのではないでしょうか?私たちは一体、何年もの間、知らずに高い料金を払い続けてきたのでしょうか?ちなみに今、Virgin Mediaへの乗り換えを検討しています。」
すると数日後、BTから返事が届きました。
「私たちの新しい料金システムをご存じありませんでしたか?これからの1年間、請求書から『○○ポンド』お引きする形でいかがでしょうか?」
とのことでした。
こちらはいつでもBTのサービスをチェックしているような熱心な顧客ではないし「新しい料金システム?そんなの知るか」と思いました。
で、どうしたかというと、
「・・・・・・・・・じゃあ、お願いします。」
とオファーを受けることにしました笑。
・・・。
「Wi-Fiにしたかったんじゃないの?」と突っ込まれそうですが、1年間待つことに笑。
こういった対応は日本ではあまり通らない気もしますが、イギリスでは、受け付けた担当者の裁量によるところがある場合もあります。個人主義のイギリスはこちらから言わないと気づいてくれないことが多いですし、言うだけ言ってみるといいかと思います。
面倒に感じた担当者が「はい、いいですよ」とあっさり応じてくれることも意外とあるかもしれません。
おわりに
正当な理由があって苦情や意見を伝えると「言ったもん勝ち」のような状況に出くわすことがあります。
過去には、車を購入した際、担当者が約束していた内容が履行されず、こちらから何度か質問したにもかかわらず煮え切らない返事ばかりだったため、その上のマネージャーに質問と合わせてやんわり苦情を伝えたところ、その後のサービス(点検整備のようなもの)を無料にしてくれました。
また、車の保険契約について、こちらから連絡をしたのに保険会社側で受理されていなかったことを指摘したところ、「迷惑料」として(あるいは低評価レビューを避けるためか)50ポンドを送ってくれたことも。
他には、スーパーマーケットで購入したギフトカードが、発行元のミスでアクティベートされておらず、苦情を伝えたところ、間に入ったスーパーマーケットが上乗せした金額で返金と謝罪をしてきました。
同様の経験は他にもあります。いずれも、カスハラのような行為でも、追加のサービスや無料特典を期待していたわけでもありません。相手側の不備を順を追って淡々と説明する形で苦情を出した結果です。決して過剰なクレームではありません。それだけ不備が多いとも言えますが。
日本のように「何も言わなくても察してくれる」ことは、イギリスではまず期待できません。だからこそ、遠慮せずに自分からはっきりと伝えてみると良いと思います。