ギフトエイド(Gift Aid)とは?何のこと?
イギリスではチャリティ活動が盛んです。
テレビ番組でも大々的に行っているし、学校でもマラソンのようなイベントを通して寄付金を募ることがあります。
また、不要になった衣類などを寄付として集めるためのビニールバッグが郵便受けに投函されることもよくあります。
そんな寄付をするときに、
「もしあなたが納税者なら、ぜひ『Gift Aid』にチェックをしてください。」
と、たいてい言われます。
これはどういうことなのでしょうか?
「ギフト・エイド(Gift Aid)」って何?
イギリスで寄付をすると、
「もし納税者なら『Gift Aid』で寄付してください。」
と、ほとんどの場合、言われます。
それに賛同する納税者は、氏名と住所を指定の書類に記入します。
子供たちが学校からもらってくるチャリティイベントの用紙にも、
「『Gift Aid』を利用する場合、ここにチェックして氏名・住所の記載をお願いします」
と、あらかじめ印刷されていることが多いです。
ナショナル・トラスト(National Trust)やイングリッシュ・ヘリテージ(English Heritage)を訪れたときにも、そのように声をかけられることがあります。
家庭での不用品(不要な衣類、本、DVD、本、ジュエリー、靴など、状態の良いもの)を集める大きなビニール袋が、慈善団体から各家庭に配られることがよくあります。
こんなやつです↓↓↓
(画像:www.sundaypost.com/より)
バッグには回収する曜日が印刷されています。
各家庭は不用品が詰まったバッグを、指定された日の朝、玄関の前に置いておきます。
そして、慈善団体の車がその地域を回収しにやってきます。
そのバッグにも「Gift Aid」の文言が印刷されていることがあります。
Gift Aidの仕組みとは??
Gift Aid(ギフトエイド)は、慈善団体への寄付を行うときに、その団体がより利益を受け取ることができよう考えられたシステムです。
「納税者」が寄付を行うと、政府が納税者が納めた税金から一定の金額を慈善団体に払い戻してくれる仕組みです。
たいていの納税者は会社から給料をもらっています。
そしてほとんどの人が所得税を源泉徴収されていますよね?
「Gift Aid」を通して「寄付をしますよー」と、宣言することによって、その年に払う予定の税金から一定の金額を慈善団体に送ることができるのです。
「Tax payer(納税者)」限定だったり、「氏名と住所」を書いたり・・・と、なんだか面倒な手続きのイメージを持たれるかもしれません。
でも、チェック欄をチェックして記入するだけで完了します。
HMRC(日本でいう税務署)に対して何かをする必要はありません。
自営業者(Self-employed:セルフエンプロイド)の「Tax return(日本でいう確定申告)」でも、同様です。
寄付の金額について申請する欄があります。
ギフトエイドの例
例えば、イギリスの納税者Aさんが「1ポンドを寄付」したとします。
Aさんは、寄付をするときに「『Gift Aid』」を通して寄付します」と宣言します。
簡単なフォームに記入するだけで、Aさんのすることはここまでです。
「Gift Aid」は、Aさんの「1ポンド」に対する「25パーセント」の金額をHMRCに要求します。
この金額は、源泉徴収されたAさんの所得税です。
Aさんが寄付をした慈善団体は、Aさんからもらった「1ポンド」と「Gift Aid」を通して要求した「25ペンス」合わせて「1.25ポンド」の寄付を得ることになります。
納税者なら誰でも利用できる?
「Gift Aid」を通して寄付をするためには、その納税年度に、
・イギリスに所得税を納めている、または、
・キャピタルゲイン税を支払っている
ことが必要です。
もちろん「誰かの代わりに」とか「会社の名前で」というのはできません。
2016年4月から、1948年4月5日以降に生まれた個人の所得税課税対象金額は£11,000に増加しています。
これにより、所得が£11,000を下回っている場合、ギフト・エイドを要求することはできません。
また、VAT(付加価値税)とカウンシルタックス(Council Tax:市民税に相当)は考慮されません。
もっと詳しく・・・
「Gift Aid」は、イギリスの税制上のインセンティブ制度です。
個人から慈善団体への寄付をするとき、税の部分が優遇されます。
この制度は1990年に導入され、これまでに何度か改訂を繰り返しています。
もともとは600ポンド以上の現金での寄付に限られていましたが、2000年に最低寄付限度額が撤去されました。
また慈善団体が「Gift Aid」を利用するためには、その組織がHMRC(税務署)に承認されている必要があります。
おわりに
ちなみに、高額納税者だと、計算方式が少々変わってきます。
私は高額納税者ではないので心配する必要はありませんが笑。
また、衣類を集めて回るスタイルのチャリティは組織化しており、慈善活動という名前の裏で、実際にはチャリティ団体にはあまり寄付金が送られていないという問題も最近浮上しています。